おうなつだぜ!おうあついぜ!カマキリの寿命ってそんなに短かったの?知らなかったぜ! ~『おれはかまきり』を詠む~
先日、家に帰った時ふと下を見ると、一匹のカマキリがいることに気づきました。その瞬間、「おう夏だぜ、おれは元気だぜ」と無意識につぶやいてしまいました。あなたもこのセリフ、聞き覚えはないでしょうか。
そう、このセリフは、かまきりりゅうじさんの詩である『おれはかまきり』の中にある一節です。当時、小学校の教科書に掲載されていました。小学生だった僕は、学校の授業でこの詩を初めて読んだとき衝撃を覚えました。何が言いたいのかは全然理解できませんでしたが、クラスみんなで大爆笑したのを覚えています。
先日改めてその詩を思い出し、大人になった今なら内容を解釈して理解できるのではないかと感じたました。そこで、今日は『おれはかまきり』について述べていきたいと思います。
かまきりりゅうじについて
かまきりりゅうじはペンネームであり、本名は工藤 直子 (くどう なおこ)。台湾嘉義に生まれた日本の詩人であり童話作家でもあります。
そんなかまきりりゅうじさんの詩はこちらです。
おれはかまきり
かまきりりゅうじ
おう なつだぜ
おれは げんきだぜ
あまり ちかよるな
おれの こころも かまも
どきどきするほど
ひかってるぜおう あついぜ
おれは がんばるぜ
もえるひを あびて
かまを ふりかざす すがた
わくわくするほど
きまってるぜ
やはり何度読んでも面白い詩ですね。とても威勢がいいことが伝わってきます。元気に満ち溢れているというか。しかし、一読しただけではそれ以上内容は分かりませんでした。そこでカマキリについて調べてみました。
カマキリの生態から詩を考える
カマキリについて調べてみたところ、なんとカマキリの寿命は約7か月だそうです。
4月に卵から羽化し、11月にはもう寿命を迎えてしまうというのです。一年も満たないうちに命を落としてしまうというのは知りませんでした。なんとも儚いですね。
その4月から11月のなかでちょうど中期である夏がちょうど成虫になる時期であり、カマキリとして最高の時期だといいます。
また、メスは産卵期になると体力を蓄えるためにオスを食べてしまうそうです。そのためオスの方がメスよりも寿命が短いそう。
この二点から、『おれはかまきり』の主人公であるカマキリは、人生の中で最も盛んな時期であり、イキっているように読み取れます。「おれ結婚なんてまだいい、みんな近寄るな、まだまだ人生を謳歌するぜ!」なんて思いながら。そう考えると「あまりちかよるな」とか「こころもかまもひかっているぜ」「わくわくするほどきまってるぜ」などの表現もよく分かります。
これは僕たち人間にも当てはまることであり、どんな生き物も、寿命の長さは違えど、同じような成長過程で人生を歩んでいくんだよということを伝えているように感じられます。
セミは7日で亡くなってしまうといいますが、セミにも一週間の中でギラギラとイキった時期があるのでしょう。
おおなつだな
おらは生きてるぞ
もっとちゃんと聴きな
おらのこころも美声も
うっとりするほど
透き通ってるぞ
なんていいながら。
おわりに
かまきりりゅうじは他に「てれるぜ」という詩も書いています。また、かたつむりでんきちやへびいちのすけという別のペンネームで書いた作品もあり、どれもとても興味深いです。工藤直子節にどっぷりとハマってしまいました。今後は彼女の他の作品も読んでいきたいと思います。
今日はこの辺で失礼します。
かまきりは今まで嫌いだったけど、だんだん愛着が湧いてきました。これからはカマキリもセミも大切にしよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。